「ピタジュマジック」カウントダウン企画“ピタジュが出来るまで”

ピタジュ結成秘話“ピタジュが出来るまで”

※このストーリーはピーターパンJr.の結成までに迫る連載企画です。2017年の現在進行形の話ではありません。登場する人物、ストーリーは全て過去のエピソードです。ピーターパンJr.のリーダーTAKUROを主人公としてお話を進めて参ります。

 

☆第八話「運命は変えるもの」

DANの一言で一気に戦況の変わった路上ライブ。

今まで一人の人にも立ち止まって聴いて貰えなかった僕達が沢山の方にCDをお届けする。確かにその日は奇跡と言っても良いほどの事が連続で起こった特別な夜だった。

そんな最高の日に浮かない表情のDAN。

これはただ事では無いということは容易に想像出来た。

「TOMOYAの病状が悪化して、今年いっぱいは戻って来れないらしい。」

凍った水道の蛇口からようやく水が出るほどの弱々しい声でDANは告げた。

季節は7月を迎えたばかり、当初のTOMOYAの話では夏までには戻って来れるだろうという話だったので、僕もDANもそろそろTOMOYAとまた一緒に活動が出来る。何となくそう期待していた矢先だった。

普段ポジティブで元気なDANが見せる初めての不安そうな表情に、僕は必死で言葉を探した。

しかしどの引き出しを開けても、見つかるのは“ありふれたキレイゴト”ばかり。自分のボギャブラリーの無さを呪ったくらいだ。

では自分はこんな時、どうすれば前を向くことが出来るだろう?

そう考えた時、ある一つのアイデアが浮かんだ。

「そうだ。ライブをしよう。」

僕がポツリと呟いたその台詞に、DANは小さく聞き返した。

「東京で、二人でってこと?」

DANの熱さに感銘を受け、神戸でのライブ出演を引き受けた僕。

そこには病気になってしまったTOMOYAの分まで自分が音楽を届けてやる。という覚悟を背負ったDANがいた。

そしてそのDANから僕が感じたのは“悲しみ”や“使命感”では無く“喜び”だったのだ。

どんな状況でも歌うことを選んだDANは音楽が出来る事の喜びを噛み締め、本当に音を楽しんでいるように見えた。

“こんなに歌が好きな人がいるんだ…”

僕は今まで出会ったどのアーティストより“歌”を愛しているDANのことを思い出した。

「TOMOYAが帰って来たとき、沢山のファミリーで迎えられるように俺たちでライブを企画しよう。」

そう。今のDANや僕に必要だったのは“言葉”では無く“目標”だったのだ。

こうして僕が一歩を踏み出せているのは、僕のことを誘ってくれたTOMOYAがいたからで、DANと出会えたのもTOMOYAがいたからだ。

KLEARのピンチは自分のピンチ。その時僕の中ではすでにそういう事になっていた。

「面白いかも。」

徐々にいつもの表情を取り戻すDAN。やはりDANには笑顔が似合うなと改めて感じた瞬間だった。

そこが駅の改札の前だということも忘れるほど話をした僕たちは次の路上ライブの日程を急遽ミーティングに変更することを決め、岐路に着いた。

“スイッチの入った自分は強い”

昔からそんな気がしていた僕だったが、ここから更にそれを実感する日々が続くことになる。

そして“あの曲”が誕生した。

 

to be continued…